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東日本大震災関連
数百人のIT技術者が復興支援アプリを生む“場所”、Hack for Japan
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- 2011/7/4 7:00
「自分の技術を復興に役立てたい」。そんな思いを持つIT技術者数百人が集まり、Webやスマートフォンのアプリが続々と生まれている“場所“がある。「Hack for Japan」だ。
Hack for Japanは、被災者支援や復興に役立つアプリを開発する技術者のための“場所”を提供し、開発を支援するプロジェクトだ。ここで言う“場所”とは、イン ターネット上のアイデアや情報を共有するためのサイトと、実際に集まり議論や開発を行うイベント。震災から約1週間後の2011年3月19~21日に第1 回のイベントを開催。さらに、第2回イベントを5月21~22日に被災地の仙台など6会場で開催した。
Hack for Japan ハッカソンの模様(仙台)
Hack for Japan ハッカソンの模様(東京)
グーグルやマイクロソフト、ヤフー、リクルートや楽天など企業の枠を超えた協力のもと、大きな会場では数十人の技術者が参加し、カンヅメでアプリを開発した。
インターネットで参加した人数はさらに数百人にのぼる。デマ情報を判別するサービスや炊き出し情報検索サービス、ガイガーカウンターの測定 値を自動でアップロードし地図上に表示するシステムや、復興する被災地の写真を次々と表示するスマートフォン時計アプリ「復興時計」など数十の開発プロ ジェクトがスタート。ラジオ番組など、IT業界を超えた連携も始まっている。
■震災の約1週間後に開催
「Hack(ハック)」は、プログラマの間で使われる俗語で、プログラムを調べて改良することなどを示す。
Hackする人、すなわちHacker(ハッカー) は、マスメディアなどではシステムに不正侵入する人を指す呼称として使われることもあるが、プログラマの間ではプログラミングに長けた技術者を指す尊称 だ。自由にプログラムを書き、お互いに利用して改良しよう、インターネットはそんなHackとオープンな協力の精神で築き上げられてきた。Hack for Japanは、そうしたインターネットの精神のもとで生まれたプロジェクトである。
「皆で集まって、震災の被災者を支援するアプリを作ろう」――。
東日本大震災、インターネット関連企業の間で始まった呼びかけが、Hack for Japanの始まりだった。震災から約1週間後の週末にあたる3月19~21日にかけて、第1回の「アイデアソン」と「ハッカソン」と呼ぶイベントが始まった。

インターネット上のディスカッション
アイデアソンとはアイデアとマラソンを組み合わせた言葉で、半日や1日といった長時間、アイデアを提案したり議論したりする。一方のハッカ ソンはHackとマラソンを組み合わせた言葉で、集まってプログラミングを行う。どちらもプログラマの間でよく行われているイベントだ。
第1回のハッカソンには、京都、福岡、岡山、徳島の会場に合計数十人が参加、インターネットでは500人以上が参加した。インターネット上の“会場”となったGoogleのサービスには、258個のアイデア、1279個のコメントが投稿された。
第2回イベントは、被災地である仙台や会津若松に加え、高松、福岡、東京の会場に合計100人以上が参加、約20のプロジェクトが開発を行った。
■デマ判別や放射能測定、ラジオ番組との連携
デマだったー
Hack for Japanで作られたアプリをいくつか紹介しよう。
震災直後、Twiterでは多くの有用な情報交換が行われたが、中には誤った情報もあった。tama氏が開発した「デマだったー」は、誤っ た情報をユーザーが「デマ」であると投票して、不正確な情報の拡散を抑制するアプリだ。Android端末向けのTwitterアプリ「twicca」の プラグインとして使用する。
第2回ハッカソンに合わせて、会津若松の佐々木陽氏と寺脇勝彦氏は、放射能測定値を取得するAndroidアプリを開発するためのソフトウエア「Open Geiger Development Kit(OGDK)」をOSS(オープンソース・ソフトウエア)として公開した。ボードコンピュータの「Arduino(アルデュイーノ)」に接続したガイガーカウンターからBluetooth経由で、Android端末に放射能測定値を自動的に取り込む。
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数百人のIT技術者が復興支援アプリを生む“場所”、Hack for Japan
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第2回ハッカソンの会津若松会場では、参加者がガイガーカウンターからAndroidに測定値を自動取得して、サーバーにアップロードし、Google Map上に表示するまでをそれぞれ分担して開発した。
Open Geiger Development Kit(OGDK)のWebページ画面の一部
ダジャレクラウド
ラジオ番組に寄せられたアイデアを開発した例もある。ニッポン放送のスマートフォンアプリをテーマにした番組「オールナイトニッポン GOLD app10.jp」では、第2回のアイデアソン開催に合わせて番組でアプリのアイデアを募集。アナウンサーの吉田尚記氏がアイデアソンで集まったアイデア を報告したところ、参加者の菅氏と天野氏がアイデアの中から開発を始めたのが「ダジャレクラウド」である。「ダジャレを投稿して笑いで日本を元気にする」 というWebサイトだ。
この他にも多くのプロジェクトが進行中だ。プロジェクトの一覧はHack for JapanのWebサイトに掲載されている。
震災からの復興は長丁場だ。Hack for Japanも、年単位での息の長い活動を目指している。「復興はまだ続く。Hack for Japanの活動もまだ続く」(Hack for Japan スタッフ 及川卓也氏)。第3回のアイデアソンは7月23日、ハッカソンは7月30日に仙台、会津若松、東京で開催を予定している。
(ITpro 高橋信頼)
[復興ニッポン 2011年7月1日掲載]
松本復興相「放言、暴言、脅し」―こんな人物しかいなかったのか!
2011/7/ 4 13:35
松本龍復興担当相が3日(2011年7月)、就任後初めて激励のために岩手・宮城両県の被災地を訪れたと思ったら、放言、暴言、脅しありでとんだ見込み違いだった。「波紋を呼びそうだ」と取り上げた「朝ズバッ!」では、コメンテーターから怒りの声が噴射した。
「九州出身だから東北よくわからない」
宮城県庁内の応接室に通された松本は、遅れて入ってきた村井嘉浩知事が握手を求めても応じず、いきなり「(水産特区は)県で(漁協との)コン センサスを得ろよ。そうしないとわれわれは何もしないゾ。ちゃんとやれ」と凄んだ。続けて、「いま、後から入ってきたけど、お客さんが来る時は自分が入っ てからお客さんを呼べ。いいか、長幼の序が分かっている自衛隊ならそんなことやるゾ。分かったらしっかりやれ」

そして、こんな事を言い出したのだ。
「今の(やりとりの)最後の言葉はオフレコ。いいですね、皆さん。書いたらその社は終わりだから」
遅れてきた知事に憤慨してつい暴言と思ったら、そうではなさそうで、その前に訪れた岩手県でも次のような放言をしていた。
「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」「(俺は)九州の人間だから、東北に何市がどこの県とか分からない」
復興担当の大臣がこれでは被災地の人たちが「東北は見捨てられた」と思うだろう。
松本は福岡市出身で、1990年の衆院選に旧社会党から出馬して初当選して以来、7回連続当選している。96年には社会党を離党して旧民主党 結成に参加、昨年9月の菅内閣改造で環境担当相兼防災相に就任した。6月28日の復興担当相就任会見で、「民主も自民も公明も嫌いだ」と発言して野党から 猛反発を受けている。
「助けてやるぞ」と上からのもの言い
まず、共同通信政治部デスクの柿崎明二が次のように怒りをぶつけた。
「被災地の人たちがこのシーン見たらかなり怒るはずですよ。国会はまたこれで時間がとられ、復興の問題が遅れる。被災地の人たちを癒しに行く役割のはずが、これでは全くわけがわからない。現地にもう1回行って謝った方がいい」
経済評論家の池田健三郎「国と地方の関係は対等。長幼の序は関係ない。復興に協力しようというミーティングで、なぜ上から物を言わなければならないのか」
司会のみの・もんた「エッ、この人60歳。60年の人生を経てきて、国会議員になった人間として、どういう気持ちで言ったのか、スタジオに来てもらって私は聞いてみたい」
それにしても、東北復興の国難にあたる最高責任者にこの程度の人材しかいないとは、任命した菅首相は松本のどこを見ていたのだろう。あんな性格を知らなかったわけじゃないと思うが…。
「何市がどこの県か分からない」復興相が放言連発(07/04 11:49)
今回の人事で新設された復興担当大臣に任命された松本大臣の発言です。任命後、「3月11日以来、民主党も自民党も公明党も 嫌いだ」と言って、野党の反発を招きました。さらに3日は、訪れた被災地の宮城県で、「県でコンセンサス(合意)を得ないと何もしないぞ」などと発言しま した。
松本復興担当大臣:「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々は何もしないぞ。ちゃんとやれ!そういうのは」
宮城県の村井知事との会談では、こう発言した後、会談を待たされた状況に次のように注文をつけました。
松本復興担当大臣:「お客さんが来る時は、自分が入ってからお客さんを呼べ。いいか、長幼の序が分かっている自衛隊ならそんなことやるぞ!」
また、これに先立って訪れた岩手県では、冗談めかしてこう発言しました。
松本復興担当大臣:「俺は九州の人間だから、東北が何市がどこの県とかよく分からない」
枝野官房長官:「松本大臣は3月11日以来ですね、防災担当大臣として人命救助にはじまって、この震災の対応の最前線に立ち続けて、状況についても、政府のなかで最も詳細に把握し、なおかつ、被災者、被災地の皆さんの思いというものを最も強く受け止めておられる」
松本復興相、被災知事2人に放言連発
松本復興相は3日、岩手県庁で達増拓也知事と会談し、被災地の復興について「知恵を出したところは助けるけど、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」と述べた。また、「九州の人間だから、(被災地の)何市がどこの県とか分からん」と冗談めかして発言した。
その後訪れた宮城県庁では、村井嘉浩知事が後から部屋に入ったことについて、「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ」と語った。同県が重点的な漁港整備を要望していることについても、「県でコンセンサスを得ろよ。そうしないと我々何も知らんぞ」と述べた。
(2011年7月4日08時47分 読売新聞)
松本龍・復興大臣がきのう3日(2011年7月3日)、 岩手、宮城を視察したが、これがまたひと騒ぎ起こりそうだ。
司会の小倉智昭「松本大臣は復興担当に就任したとき、『民主も自民も公明も嫌いになりました』といったので、面白いことを言うと思っていたん ですが、県知事さんにズケズケ言ってるモノのいい方が、もうちょっときちんと説明しないと、あとで国会で問題になるんじゃないか」とVTRで見せた。
「県でちゃんとやれ!そうしないと何もしないぞ」
松本は村井嘉浩・宮城県知事に、「水産関係でも3分の1から5分の1集約させるといっているけど、県でコンセンサスをやれよ。そうしないと何 もしないぞ。ちゃんとやれ!そういうのは」と、なんとも無礼な口の利き方だった。部下に対してではない。宮城県知事にこの偉そうな言いぐさは、つまり宮城 県民に対してそうしゃべったということである。

実はその前、松本より知事があとから部屋に入ってきたため、「お客さんが来る時は、自分が入ってから呼べ。しっかりやれよ」とからんでもいた。
知恵を出さないヤツは助けない
岩手では、達増拓也知事が仮設住宅を要望したのに、「仮設はあなた方の仕事だ。知恵を出さないヤツは助けない。そのくらいの気持ちを持て」 と、これまたオレサマ口調。さらに、「(俺は)九州出身だから、何市がどこの県かわからない」と、これは冗談らしいが、聞いてた県庁職員は一様にカチンと きたらしい。
笠井信輔アナ「あそこだけVTRでつまむとたしかにきついイメージがありますね」
中野美奈子アナ「そうですよね」
小倉「何もやらないと助けてやらないといういい方は誤解を招きますね。地元がまず動いて、そうしたら助けるよといえばいいのに。滑りやすいタイプなのかもしれません」
民主党が権力慣れしていないことは十分わかったが、権力の使い方をわかっていない議員も多いらしい。まあ、首相が首相だからね。ただ、松本の場合、学ぶべきはまずは口のきき方だろう。自分が思ってるほど、国民は大臣を偉いなんて思っちゃぁいないぜ。
中村雅俊、故郷・宮城の早期復興願う

宮城県への思いをつづった楽曲を熱唱する中村雅俊=東京ビッグサイト
歌手の中村雅俊(60)が3日、東京ビッグサイトで行われた「第4回Happy Rose アワード」授賞式に登場。同じ宮城県出身の脚本家・宮 藤官九郎(40)とともに詞を書いた“合作”「予定~宮城に帰ったら~」を披露し、故郷の早期復興を願った。今年で還暦を迎える著名人を代表し、深紅のバ ラ60本の花束を受け取った中村は、「被災地のすべての場所に花が咲くように祈ってます」と言葉を贈っていた。
(2011年7月4日)
細目で赤字計上の議員増=松本復興相、日航株で970万円損-所得公開
2010年の国会議員所得報告書によると、「事業」「株式譲渡」など特定の細目で赤字を計上した議員が41人に上り、09年の26人から大幅に増えた。経営破綻した日本航空株を保有していた松本龍復興担当相が969万円の売却損を出すなど、厳しい経済情勢が議員所得を押し下げた。
41人の内訳は民主党30人、自民党8人、公明党2人、社民党1人。
松本復興相は日航株約3万5000株を保有していたが、同社は10年1月に経営破綻し、株価が急落。同年2月に上場が廃止される前に1株3~5円程度で売却したとみられる。また、田嶋要経済産業政務官は別銘柄の株式売却に伴い2125万円の損を出した。
事業収入では、民主党の川口浩衆院議員が、自ら経営する歯科医院の収支の悪化で1846万円の赤字を計上。弁護士活動で、民主党の小川敏夫法務副大臣が1138万円、自民党の谷垣禎一総裁が46万円、同党の丸山和也参院議員が62万円のそれぞれマイナスとなった。
菅直人首相はマンション賃料で09年に5万円の不動産所得があったが、10年は18万円の損失に転じた。海江田万里経済産業相も不動産で76万円の赤字を出した。(2011/07/04-10:12)
水産業復興特区「地元の意向を重視」 農水相が慎重姿勢
鹿野道彦農林水産相は3日、沿岸漁業への民間参入を促す「水産業復興特区」の導入について、「県や市町村、漁業者の意向をよく聞いて進めていく」と述べ、被災地の希望を尊重しながら慎重に判断する考えを示した。視察先の宮城県女川町で記者団に語った。
鹿野氏はこれに先立ち、地元の漁業関係者と意見交換。地元の漁協から「特区を受け入れると、同じ浜で争いが生じかねない」と懸念する声が出た。現行法で も漁協の組合員となる形で民間企業の参入は可能で、安住宣孝・女川町長も「一気に漁業権を開放しようとするから問題になる」と記者団に述べた。
鹿野氏は津波で壊滅的被害を受けた水産加工会社や製氷施設を視察。「製氷施設や仮設の流通・加工施設の復旧を急ぐ」と述べ、第2次補正予算に整備費用を 盛り込む考えも示した。被災地からは、漁業生産と水産加工・流通業の一体的な復旧に向けた要望が強く、製氷施設の復旧には菅直人首相も意欲を見せている。 (大津智義)
水産関連産業を一体的に再建 農相が宮城・女川を視察
水産関連施設の被害について説明を受ける鹿野農相(左から2人目)=3日午後、宮城県女川町
鹿野道彦農相は3日、東日本大震災で水産関連施設が甚大な被害を受けた宮城県女川町を視察し「水産業は、捕るところから加工し流通に乗せるところまで取り組んでいかなければならない」と述べ、水産関連産業の一体的な再建を支援する姿勢を強調した。
鹿野農相は、1日に営業を再開した女川魚市場などを訪れ、安住宣孝町長らの説明を受けた。仮町役場が置かれている女川二小では、漁業や水産加工業の関係者らと意見交換した。
地元関係者は「水産加工業が動きださないと復興にならない。すそ野も広い産業だ」と支援強化を求めた。町側は「優先順位を決め、流失した防波堤や沈下した護岸などの基盤整備はスピード感を持って取り組んでほしい」と要請した。
鹿野農相は視察後、「水産の町としてもう一度頑張っていくという町民の強い意志を感じた。第2次補正予算、第3次補正と間断なく施策を講じていきたい」と話した。
2011年07月04日月曜日
復興に役立つアプリ皆で作ろう 政府が「ネットアクション2011」ヤフーやGoogleも協力
政府が東日本大震災からの復旧・復興に役立つデータを一般に公開し、それらを活用したWebサービスやアプリの開発を広く呼びかける「ネットアクション2011」が始まる。ヤフーやGoogleなどの企業も協力する。
[宮本真希,ITmedia]
» 2011年07月04日 11時38分 UPDATE
日本もGov2.0!?:復興に役立つアプリ皆で作ろう 政府が「ネットアクション2011」ヤフーやGoogleも協力
政府が東日本大震災からの復旧・復興に役立つデータを一般に公開し、それらを活用したWebサービスやアプリの開発を広く呼びかける「ネットアクション2011」が始まる。ヤフーやGoogleなどの企業も協力する。
内閣官房、総務省、文部科学省、経済産業省は7月4日、東日本大震災からの復旧・復興80 件に役立つデータを一般に公開し、それらを活用したWebサービスやアプリ、コンテンツの開発を企業や個人に広く呼びかける「ネットアクション2011」を始めた。ヤフーやGoogle、Twitterなどの企業も協力する。
震災発生時に経産省は、東京電力が公開している電力使用状況データを使って外部サービスを作ったら知らせてほしいとTwitterで呼びかけるなど、オープンな姿勢を見せてきた。それをさらに一歩進めた、“Gov2.0”なプロジェクトに発展させたい考えだ。
ヤフーもGoogleもTwitterも協力
4日にまずはネットアクション2011のポータルサイトが オープンする。ここでは、総務省がまとめた被災地の統計情報や、東京電力の各種電力データ、国・自治体のTwitterアカウント一覧といった、国や公 共・民間機関などのデータを公開。データのオープン化の調整役も政府が担う。プロジェクトは来年3月31日までで、データの種類は随時増える予定だ。
これらのデータを活用したWebサービスやアプリを開発してもらい、震災からの復旧・復興80 件につなげていく狙い。具体的には、被災地のニーズと支援者をマッチングするシステムや節電を推進するアプリ、被災状況を可視化して風評被害を防止するサイトなどを例に挙げる。復興に役立つ漫画や音楽などのコンテンツ創作も呼びかける。
企業や民間団体もさまざまな形で協力する。ヤフーやGoogle、Twitter(デジタルガレージ)は、ネットアクションで公開されるデータを 使ってAPIを作成し、開発者に提供する。ベクターは、ネットアクションから生まれたアプリの投稿サイトを用意。「モバツイ」で知られるマインドスコープ や、ボランティア情報のマッチングを行う団体「ボランティアインフォ」なども名を連ねる予定だ。
「成功しなかったら日本のオープンガバメントは10年遅れる」という決意で
欧米各国では、政府がデータを公開し、それを使ったサービスの開発を民間に奨励する動きが盛んだ。例えば、米国で08年から実施されている「Apps for Democracy」は、行政情報や統計データを使ってアプリを作るマッシュアップコンテストで、優勝賞金として3万ドルが贈られる。「日本でもこういうことができないかと前から考えていた」と経産省の担当者は語る。
震災発生時に経産省は、東京電力が公開している電力使用状況データを使って外部サービスを作ったら知らせてほしいとTwitterで呼びかけるなど、オープンな姿勢を見せてきた。呼びかけから2日間で50以上のサービスが作られたが「みんなが作ってよかったねで終わってしまった。サービスが色んなところに載っていてまとまっていなかった」という反省もある。
ネットアクションでは、開発を呼びかけるだけでなく、政府が自らデータを公開したり、ポータルサイトに情報を集約したりすることで、開発者を後押 し。民間と協力して開発コンテストを実施したり、ユーザーからの評価が高いアプリやサービスを国が表彰したりすることも計画している。
「これ(ネットアクション)が成功しなかったら日本のオープンガバメントは10年遅れると思ってやっていきたい」――担当者の言葉には、強い決意がにじんでいた。
電子書籍販売の「マガストア」で雑誌ページを使った復興支援策
電通とヤッパは、電子書籍ストアの「マガストア」において、東日本大震災の復興支援プロジェクト「MAGAdonaiton」を7月より順次開始する。
今回開始される「MAGAdonaiton」は、同サイトに参加している一部の雑誌のページを使い、復興活動を行っている団体やNGO、 NPOの活動を紹介するというもの。また、紹介ページは各団体のWebサイトへのリンクが設けられ、リンク先で寄付などを行うことも可能。今後配信される 雑誌について、掲載を行っていく。
掲載される雑誌は、「オズマガジン」「アエラ」「CREA Traveller」など、30誌程度から開始される。また、マガストアで取り扱っている雑誌のうち、半数以上のタイトルが「MAGAdonaiton」に参加する見込みになっている。
■ URL
ニュースリリース(PDF)
http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011077-0704.pdf
マガストア
http://www.magastore.jp/
(太田 亮三)
2011/7/4 16:28
海の道しるべに復興願い、灯台代わりのブイ設置
2011.7.3 16:53
震災で破壊された灯台に代わり大船渡港に設置された、名古屋市の子供による応援メッセージが記されている仮設ブイ=3日午前、岩手県大船渡市
海上保安庁は3日、東日本大震災の津波で破壊された岩手県大船渡市の大船渡港湾口防波堤に立っていた2基の灯台の代わりとなる仮設ブイ(灯浮標)を設置した。ブイは第4管区海上保安本部(名古屋市)が整備し、名古屋市の子供による応援メッセージが記されている。
この日、防波堤の灯台があった付近で、釜石海上保安部の職員や業者らがブイを台船からクレーンでつり上げて海上に浮かべ「ガンバロウ東北」と書かれたコンクリートの重りを沈めて設置した。防波堤と灯台が再建されるまで、船舶の安全を確保する。
ブイには名古屋市立東築地小の児童が「元のすばらしい東北にもどることを心から願ってます」「元気でがんばってください」と寄せ書きがしてある。釜石海保の豊川治次長は「メッセージをもらい、元気づけられた。しっかりと管理していく」と語った。
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東日本大震災:復興会議提言、毎日震災フォーラムの4氏分析 高台移転の予算を
東日本大震災復興構想会議(五百旗頭真(いおきべまこと)議長)が6月25日に菅直人首相に答申した復興ビジョンの提言について、「毎日新聞・震災フォーラム」のメンバー4人に意見を寄せてもらった。
増田寛也・前岩手県知事は「土地の権利関係の処理に国が前面に出てほしかった」と、制度改正や予算措置の踏み込み不足を批判。牧原出(いづる)・東北大教授は「政治が迷走を続け、何も主導しない中、よくぞ提出することができた」などと記した。
宮城県気仙沼市でカキ養殖業を営む畠山重篤さんは「高台移転を促進させる英断を第3次補正予算に」と期待する。松原隆一郎・東京大教授は「減災」 の考え方を評価する一方で、「原発は福島第1について方針を立てる状況にも至っていないのに、半端に論じられている」と指摘した。
毎日新聞 2011年7月3日 東京朝刊
- 震災フォーラム:高台移転の予算を…復興会議提言4氏分析
- 東日本大震災:復興構想会議 提言実施に政権不安定さ懸念
- 東日本大震災:復興構想会議提言 「希望」まだ遠く
- 東日本大震災:「逃げる」基本に対策を 復興会議が提言
- 東日本大震災:「減災」で津波対策…復興構想会議が提言
政争で日本の震災復興に遅れも―五百旗頭議長インタビュー
- 2011年 7月 2日 17:34 JST
【東京】政府の東日本大震災復興構想会議の五百旗頭真議長は1日、同会議が提言した大規模復興事業が少なくとも年末までは実施されそうにないと述べ、政治の混乱によって被災地である東北地方の復興に遅れが出ていると見方を示した。
AFLO/Zuma Press
五百旗頭真議長
五百旗頭議長はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、国会で政争がこのまま続けば、10年以上かかると言われている東北地方の復興プロセスがさらに遅れると指摘した。
国会では5月に今年度第1次補正予算が成立しており、第2次補正予算も8月末まで延長された今国会会期中に成立する見通し。一方で、政府は復興構想会議 の提言を第3次補正予算に反映させる予定で、提言の実現は第3次補正にかかっている。第3次は10兆円超の大型補正になるとみられており、防波堤の再建や 集落の内陸部移転などの大型復興予算が盛り込まれる。
しかし、野党は、既に退陣を表明している首相と重要な課題を議論することはできないとして、菅首相在任中の第3次補正予算の議論を拒否している。菅首相は退陣の時期を明らかにしていない。
五百旗頭議長は「8月に第3次補正予算やその他の法案が(国会を)通ればいいが、そうなるかわからない。9月以降にずれ込んだら、復興事業の開始が少し遅れて年末や来年の始まりになってしまうかもしれない」と述べた。
復興構想会議が先月25日に菅首相に答申した提言には、3月11日の地震と津波で破壊された東北地方の経済復興に向けて、町の再建と地域産業の再構築に ついて幅広い内容が盛り込まれている。この提言は、松本龍復興対策担当相が主導する政府の復興対策本部で検討される予定。
今週開かれた復興対策本部の初会合では、本部長を務める菅首相が復興構想会議の提言に基づいて指針をまとめるように求めた。復興構想会議の報告書のとり まとめは完了しており、五百旗頭議長は同会議のメンバーが提言の実施プロセスを見守ると述べた。五百旗頭議長はまた、立法の過程で提言が生かされない場 合、同議会のメンバーが意見を表明すると述べたが、その影響力は限定的であることを認めた。
日本は今、広大な被災地の復旧・復興というとてつもなく大きな課題に直面している。1995年の阪神・淡路大震災で被害を受けた神戸を中心とした地域の 再建とは全く異なる経験だ。復興構想会議は被災した町全体を移転させることや、人口減少による景気悪化に苦しむ地域産業を再編し、競争力を強化することを 提言している。
阪神大震災の被災者でもある五百旗頭議長は、神戸の場合とは異なり、(東北地方の)状況を地震前より改善する必要がある、と述べた。
同議長は、地域経済の要の一つである漁港の基本的な再建が完了するまでには少なくとも3年かかると考えている。また、関連の造船業や流通システムといった広範囲にわたる復興にはさらに2年かかるだろうと述べた。
同議長は、民主党と自民党の対立が復興構想会議の有効性を制限することになるのではないかとの懸念を早い段階から抱いていたことを明らかにした。防衛大 学学長でもある同議長は菅首相に対し、復興構想会議の成功には与野党の協力が条件になると伝えたと述べた。これに対し、首相は全ての党が復興プロセスに参 加すべきだと返したという。
同議長は、全ての党に対し、真摯に提言を受け入れて協力するよう要請した、と述べ、復興計画成立への期待を表明した。
記者: YOREE KOH
飲食事業を展開するカフェ・カンパニー(東京都渋谷区)や、インターネットで食品を販売するオイシックス(同品川区)などは、東日本大震災で被災した生産者の復興を支援し新事業を立ち上げるため、社団法人「東の食の会」を設立した。
同会は、被害を受けた宮城・岩手・福島県の農業や漁業、畜産業、加工業などと、東京を中心に外食や小売りといった支援企業とのマッチングに携わる。
支援企業は年間10万円の会費でマッチング用データベースを利用できる。復興側の利用は無料で、雇用創出のため、地元食品業界のリーダー企業に参加を働き かける。一連の活動により、今後1年間で200事業の成立をめざす。また、同会の活動によって5年間の累計で約200億円の経済効果を創出する考えだ。
すでに活動に参画して準備を進めている被災企業もある。そのひとつが、工場が全壊した「斉吉商店」(宮城県気仙沼市)だ。同会が関東などに生産拠点を斡旋 (あっせん)。斉吉商店が加工したサンマを「ワインに合うサンマ」として、カフェ・カンパニーが運営するレストランなどで販売する。
東の食の会のアドバイザーには出井伸之・クオンタムリープ最高経営責任者や竹中平蔵・慶大教授らが名を連ねる。食の新ブランドを世界にも発信し、日本の農水産品・食品の輸出増加につなげていく。
三陸道ルート確定へ 地元歓迎「復興に不可欠」
大畠国土交通相は1日の記者会見で、三陸道などの三陸沿岸道路の整備を目指し、建設予定がたっていない「未事業化区間」のルートを8月中に確定する方針を明らかにした。国交相は「復興道路」と位置づけ、「10年間くらいをめどに完成させる」と発言。三陸道の早期完成を要望していた地元からは歓迎の声が上がった。
県内の三陸道(総延長121キロ)は現在、利用区間が74キロ、工事や用地買収が行われている事業中の区間が29キロだ。今回、早期整備を目指す としたのは、ルートが決まっていない残りの未事業化区間、〈1〉歌津―本吉〈2〉気仙沼―唐桑南〈3〉唐桑北―陸前高田の3区間、計18キロだ。
国交省は今後、大まかなルートをインターネットや役場などで公表する。住民や自治体の意見を聞き、インターチェンジの位置を含めたルートを7月末に提示し、8月末までに確定させる考えだ。
三陸道の全線完成を長年要望していた気仙沼市。気仙沼商工会議所の臼井賢志会頭(69)は、気仙沼湾を橋で横切るルートが想定されていることに「物流が盛んになれば、復興に弾みがつく。気仙沼のシンボルになってほしい」と期待を膨らませた。ただ、この「ベイブリッジ構想」はコストがかさみ、浸水地域を通ることへの慎重意見もあり、流動的だ。
隣の南三陸町では7つあった医療機関が震災後、2か所しか再建できていないことから、同市医師会の大友仁会長(61)は「患者を石巻や気仙沼に搬送しやすくなる」と喜ぶ。
村井知事は「三陸道は震災でも救急救命活動や物資輸送に重要な役割を果たした。整備は沿岸地域復興のため不可欠で、一日も早く完成させることが重要だ」と、政府の姿勢を評価した。
(2011年7月2日 読売新聞)
三陸の高速、全線整備へ 計360キロ「復興道路」に

三陸沿岸の高速道路の整備状況
政府、民主党は30日、仙台市から青森県八戸市までの三陸沿岸を結ぶ高速道路の三陸縦貫自動車道など3路線計 364キロを東日本大震災の「復興道路」として、全線整備する方向で最終調整に入った。大畠章宏国土交通相が7月1日、建設の方針が未定だった3路線の計 約10区間についてルートのたたき台などを公表、地元自治体との協議を始める。
8月中にルートをほぼ固め、2011年度第3次補正予算に測量や設計に必要な経費を計上する方針。被災地では今後、復興計画づくりが本格化するため、基幹となる道路を早期に定め、新たな町の設計に生かしてもらう。
2011/07/01 02:02 【共同通信】
三陸の高速、10年後完成 国交相方針、地元にルート案
大畠章宏国土交通相は1日の記者会見で仙台市と八戸市を三陸沿岸で結ぶ高速道路の三陸縦貫自動車道など3路線について「10年ぐらいをめどに完成 させる目標を持って取り組む」と述べ、東日本大震災からの復興を目的に早期全線整備を目指す方針を表明した。地元との協議を踏まえ、ルートを8月中にほぼ 確定させる意向も正式に示した。
3路線は①三陸縦貫道(仙台市―宮古市)②三陸北縦貫道路(宮古市―久慈市)③八戸久慈道(久慈市―八戸市)の計360キロで、うち4割に当たる149キロは建設方針が決まっていなかった。
(2011/07/02)
三陸沿岸道路:未定区間「月末に計画概要」--安住・民主国対委員長 /宮城
民主党の安住淳国対委員長は2日、三陸沿岸道路(仙台市-青森県八戸市、360キロ)のうち建設計画が未定の区間(149キロ)について、計画概要が今月中に公表されるとの見通しを示した。石巻市役所で記者団に語った。
安住氏は「三陸沿岸道路では未確定ルートがかなりあったが、東日本大震災を受け、政府与党として国土交通省を中心に具体化する作業が始まった。今月末にはおおむねのルートやインターチェンジの位置などを示させていただく」と述べた。【平元英治】
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毎日新聞 2011年7月3日 地方版
「首相は組織的対応が苦手」五百旗頭・復興会議長が批判
東日本大震災の復興ビジョンを練った菅政権の「復興構想会議」議長の五百旗頭(いおきべ)真・防衛大学校長が2日、大阪市内であった社団法人日本私立大学連盟の学長会議で講演し、震災や福島第一原発事故への菅直人首相の対応について「組織的な対応が苦手」と批判した。
有識者や被災地の首長らでつくる復興構想会議は4月に発足。五百旗頭氏は先月25日に復興策をまとめた会合で、「菅内閣は(復興構想会議に対する)完全な自由を保障し、いかなる介入もなかった」と菅首相を評価していた。
五百旗頭氏は講演で、1995年の阪神大震災の発生時に当時の村山富市首相が閣僚らに復興対策を一任したことを挙げ、「菅さんは一人でいろんな指示を出 し、新しい組織をつくって自分で出て行く」と指摘。「日本の弱さはトップの国家戦略的観点に立った思考が足りないこと。トップリーダーを養成する教育の役 割は大きい」と述べた。
松本復興相の辞任要求=民主幹部
民主党幹部は4日昼、松本龍復興担当相が東日本大震災の被災地復興に関し「知恵を出さないところは助けない」などと発言したことについて、「暴言だ。さっさと辞めるべきだ」と述べた。(2011/07/04-12:48)
福島原発事故における被ばく対策の問題-現況を憂う(その2/2)
2011/07/04
西尾正道[国立病院機構北海道がんセンター院長(放射線治療科)]
内部被ばくの問題
白血病や悪性リンパ腫などの血液癌の治療過程において、(同種)骨髄移植の前処置として全身照射が行われてい るが、その線量は12Gy/6分割/3日である。しかしこの線量で死亡することはない。全身被ばくの急性放射線障害は原爆のデータから、致死線量7Sv、 半数致死線量4Sv、死亡率ゼロの『しきい値』線量1Svの線量死亡率曲線を導き出し、米国防総省・原子力委員会の公的見解としている。しかし癌治療で行 われる全身照射12Gy(Sv)では死亡しない。また医療用注射器の滅菌には20,000Gy(=Sv)、ジャガイモの発芽防止には150Gy(=Sv) 照射されている。こうしたX線やγ線の光子線照射では放射線が残留することはない。
しかしα線やβ線は粒子線であり、飛程は短いが身体に 取り込まれて放射線を出し続ける。人体に取り込まれた放射性物質からの内部被ばくでは、核種により生物学的半減期は異なるが、長期にわたる継続的・連続的 な被ばくとなり、人体への影響はより強いものとなる。このため、被ばく時当初の放射線量(initial dose)は同じでも人体への影響は異なると考えるべきであり、早急に預託実効線量の把握に努めるべきである。
したがってパニックを避け るためにCT撮影では6.9mSvであるなどと比較して語るのは厳密に言えば適切な比較ではない。画像診断や放射線治療では患者に利益をもたらすものであ り、また被ばくするのは撮影部位や治療部位だけの局所被ばくであり、当該部位以外の被ばくは極微量な散乱線である。内部被ばくを伴う放射性物質からの全身 被ばくとは全く異なるものであり、線量を比較すること自体が間違いなのである。
臨床では多発性骨転移の治療としてβ線核種のSr- 89(メタストロン注)が使用されているが、1バイアル容量141 MBqを健康成人男子に投与した場合の実効線量は437mSvであるが、最終的な累積吸収線量は23Gy~30Gy(Sv)に相当する。一過性に放射線を 浴びる外部被ばくと、放射線物質が体表面に付着したり、呼吸や食物から吸収されて体内で放射線を出し続ける内部被ばくの影響を投与時の線量が同じでも人体 への影響も同等と考えるべきではないのである。
現在の20mSv問題は、より人体影響の強い内部被ばくを考慮しないで論じられており、飛 散した放射性物質の呼吸系への取り込みや、地産地消を原則とした食物による内部被ばくは全く考慮されていないのである。通常の場合は、内部被ばくは全被ば く量の1~2%と言われているが、現在の被ばく環境は全く別であり、内部被ばくのウエイトは非常に高く、人体への影響は数倍あると考えるべきである。早急 にホールボディカウンタによる内部被ばく線量の把握を行い、空間線量率で予測される外部被ばく線量に加算して総被ばく線量を把握すべきである。全員の測定 は無理であるから、ランダムに抽出して平均的な内部被ばく線量の把握が必要である。また排泄物や髪毛などのバイオアッセイによる内部被ばく線量の測定も考 慮すべきである。現在の状況は、自分たちが作成した『緊急時被ばく医療マニュアル』さえ守られていないのである。
さらに飲食物に関する規 制値(暫定値)の年間線量限度を放射性ヨウ素では50mSv/年、放射性セシウムでは5mSv/年に緩和し、しかも従来の出荷時の測定値ではなく、食する 状態での規制値とした。呆れたご都合主義の後出しジャンケンである。これではますます内部被ばくは増加する。ちなみにほうれん草の暫定規制値は放射性ヨウ 素では2000Bq/kg、放射性セシウムでは500Bq/kgとなったが、小出裕章氏によると、よく水洗いすれば2割削減され、茹でて4割削減され、口 に入る時は出荷時の約4割になるという。しかし、調理により人体への摂取は少なくなるとは言え、汚染水が下水に流れていくことにより、環境汚染がすすむこ とは避けられない。生体に取り込まれた放射線は排泄もされるため生物学的半減期や実効半減期があるが、元素の崩壊により発生した放射線は物理的半減期の時 間のルールでしか減らないのである。
現在、膨大な量の汚染水を貯蔵しているが、これも限界があり、長期的には地下や川や海へ流れることになるため、日本人は土壌汚染と海洋汚染により、内部被ばく線量の増加を覚悟する必要がある。
今後の対応について
現在、医療従事者の約44万人が個人線量計(ガラスバッジ)を使用しているというが、千代田テクノル社の 24万4千人の平成21年度の個人線量当量の集計報告では、一人平均年間被ばく実効線量は0.21mSvである。そして検出限界未満(50μSv)の人は 全体の81.5%であり、年間1mSv以下の人は94.5%である。ガラスバッジの生産に数カ月要するとしたら、1mSv以下の23万人分の線量計を一時 的に借用して、原発周辺の子供や妊婦や妊娠可能な若い女性に配布すべきである。移住させずにこのまま生活を継続させるのであれば、塵状・ガス状の放射性物 質からの被ばく線量は気象条件・風向き・地形条件だけでなく、個々人の生活パターンにより大きく異なるため、個人線量計を持たせて実側による健康管理が必 要である。それは将来に向けた貴重な医学データの集積にもつながり、また発癌や先天性異常が生じて訴訟になった場合の基礎資料ともなる。当然、ランダム抽 出によりできるだけ多くの人の内部被ばく線量の測定も行い、地域住民の集団予測線量も把握すべきである。
低線量被ばくの健康被害のデータ は乏しく、定説と言い切れる結論はないが、「分からないから安全だ」ではなく、「分からないから危険だ」として対応すべきなのである。また環境モニタリン グ値を住民がリアルタイムで知ることができるような掲示を行い、自分で被ばく量の軽減に努力できる情報提供が必要である。また測定点はフォールアウトし地 面を汚染しているセシウムからの放射線を考慮して地面直上、地上から30~50cm(子供)用、1m(大人用)の高さで統一し、生殖器レベルでの空間線量 率を把握すべきである。
土壌汚染に関しては、文科省は校庭利用の線量基準を、毎時3.8μSvとしたが、この値も早急に低減させる努力が 必要である。そもそもこの値は、ガラスバッジを使用している放射線業務従事者の年間平均被ばく量の約100倍、妊娠判明から出産までの期間の妊婦の限度値 2mSvの10倍であり、見識のある数値とは言えない。学校の校庭の土壌の入れ替え作業も一つの対策だが、24時間の生活の中で被ばく低減の効果には限界 がある。1990年のICRP勧告が日本の法律に取り入れられたのは2001年であり、11年も世界の流れに遅れて対応する国なので、多少のデタラメさは 承知しているが、法治国家の一国民として為政者の見識なき御都合主義には付き合いきれない。
最後に、私の本音は移住させるべきと考えてい る。原発事故の収拾に全く目途が無い状態では長期化することは必至であり、避難所暮らしも限界がある。このままでは年金受給者と生活保護者が増え、汚染さ れた田畑や草原では農産物も作れず畜産業も成り立たない。放射線の影響を受けやすい小児や子供だけが疎開すればよいという事ではない。住民の経済活動その ものが成り立たない可能性が高いのである。
また放射性ストロンチウムの濃度は日本では放射性セシウムの一割と想定しているため除外され、 核種の種類に関する情報も欠如している。ストロンチウム-89の半減期は50.5日だが、ストロンチウム-90の半減期は28.7年である。成長期の子供 の骨に取り込まれ深刻な骨の成長障害の原因ともなる。
メンタルケアの問題も、毎日悪夢のような事態を思い出す土地で放射能の不安を抱えな がら生活するよりは、新天地で生活するほうが精神衛生は良い。移住を回避するという前提での理由づけは幾らでもできるが、健康被害を回避することを最優先 にすべきである。5月26日の新聞では土壌汚染の程度はチェルノブイリ並みであると報じられたが、半減期8日のヨウ素が多かったチェルノブイリ事故と異な り、半減期30年でエネルギーも高いセシウム-137が多い福島第一原発の事故は、より深刻と考えている。
政府は土地・家屋を買い上げ、 まとまった補償金・支援金を支給して新天地での人生を支援すべきである。先祖代々住んでいた土地への執着も考慮して、住める環境になった時期には、優先的 に買い上げた人達に安価で返還するという条件を提示すれば、住民も納得する。また、70~80歳を過ぎた老夫婦が多少の被ばくを受けても「終の棲家」とし て原発周辺で住むのも認めるべきである。老人の転居はむしろ身体的にも精神的にも健康を害するからである。お上のすべきことは正確な情報を公開し、住民に 選択権を与え、支援することである。
今までの政府・東電の対応を見れば、馬鹿かお人好し以外の国民は「絵に描いた餅の行程表」など誰も信 用していない。将来、発癌者の多発や奇形児が生まれたりして集団訴訟となる事態を回避するためにも、政府は多額の持ち出しを覚悟すべきである。長い目で見 れば健康で労働できる人を確保することが、国としての持ち出しは少なくなるのである。なお今後の復興計画の策定に当たっては、高齢社会の医療・介護の問題 も考慮して医療関係者も参画した地域再生計画が望まれる。
これを機に、ラディカルに考えよう
今回の地震・津波・原発事故は日本社会のあり方に問題を提起した。医療の場面でもここ数年の医療崩壊とも言える事態は社会崩壊の一部であるという認識に立って対応する必要があるが、そうした視点でなお議論され対策が行われていない。
原子力利用による電力確保は国策民営として勧められ、地域住民には多額の原発交付金を与え懐柔してきた。こうした、札束で人心を動かす手法で、54基の原 発を持つ原発大国となった。約30%の電力を原子力発電で賄い、今後50%までその比率を上げようとしていた矢先の事故により、原子力行政は根本から見直 しを迫られている。そもそも、原子力を含めたエネルギー政策が、真剣に日本で議論されたことはない。政官業学の原子力村の人達は目先の利益で結びつき、 「原発の安全神話」を作り上げ、また不都合な真実の隠蔽を繰り返してきた。それどころか、使用済みウランの処理の問題も絡んで、一度事故が起こればより深 刻な事態となるMOX燃料を使用した原発まで稼働させている。
しかし、原子力発電の廃炉後の管理や使用済み燃料の保管、そして事故が起 こった場合の補償まで視野に入れた場合、コスト的にも原発が優位性を持つものではないことが明らかになった。しかしIT社会や電気自動車の普及など今後の 電力需要は増すばかりであり、節電だけでは対応できないことも事実である。脱原発の方向でソフトランディングする施策を根本的に議論すべきであろう。米国 も1979年のスリーマイル島原発の事故以来、新たな原発は稼働させていない。
癌医療においても治療成績やQOLの向上ばかりではなく、 国民の死生観の共有の議論を通じて、効果費用分析の視点を導入して、高齢社会を迎えて枯渇する年金や医療費の問題も議論されるべきである。診療報酬の配分 の議論だけではなく、根本的に考え直すべきである。再生医療も臨床応用の段階となってきたが、生殖医療がそうであったように医学的な問題や技術的な課題だ けが議論されて、「命」とは、「生きる」とは、といった「生命倫理」の哲学的な問題は回避されたまま医学技術だけが独り歩きしている。このままでは原発事 故と同様に、日本は自然の摂理から取り返しのつかない逆襲を受けるような予感を持つこのごろである。この大震災を期に、色々な課題に対してラディカルに考 え直す機会としたいものである。我々医療従事者も改めて、放射線利用の原則である、正当性・最適化・線量限度に心掛け診療すべきである。
こうした原子力災害を機に、閣議決定や総理大臣の思いつきでも結構であるから、「癌の時代」を迎えた緊急事態として、(1)放射線治療学講座の設置による 放射線治療医の育成と、(2)医学物理士の国家資格化と雇用の義務付け、などを発言して頂ければ私の心も少しは治まるかもしれない。(2011年6月5日 記)
(その1/2)はこちら
福島原発事故における被ばく対策の問題-現況を憂う(その1/2)
2011/07/01
西尾正道[国立病院機構北海道がんセンター院長(放射線治療科)]
2011年3月11日は日本の歴史上で忘れられない日付となった。大地震とそれによる津波被害だけでも未曾有の事態であるが、福島第一原子力発電 所の全電源喪失による事態により原発の「安全神話」は崩壊し、今なお震災復興や事故対策の目途が立たない状況が続いている。関係者は全力で対応している が、情報開示不足や指揮の不手際や事故収拾に向けた不適切な対応もあり、今後の健康被害が憂慮されている。
原発事故による放射性物質の飛散が続く中、地域住民は通常のバックグランド以上の被ばくを余儀なくされて生活している。私は事故直後に風評被害を避けるために、3月14日に「緊急被ばくの事態への対応は冷静に」 と題する雑文を短期収束を前提に書いて配信させて頂いた。しかし事故の全容が明らかになり、放射性物質の飛散が長期的に続くとなれば、全く別の対応が必要 となる。6月5日現在の情報をもとに、原発事故を通して見えてきた【放射線】を取り巻く社会的対応や健康被害について私見を述べる。
原発事故で判明した「放射線」に関する社会の無理解
原爆被ばく国であり、本来は最も「放射線」に対して知識を持っているはずの日本人の原発事故への対応は、なお混迷している。
事実の隠蔽と会社存続に固執して画策する東京電力、文系技官が中心で正確な知識を持ち合わせていない行政、指導力と緊張感を欠如した政府首脳、政争の具に 利用しようとする政治家達、今まで原発の安全神話を作り上げてきた御用学者や業界人、こうした原子力村の人々の姿を見れば、日本に明るい未来を感じること はできない。なんとも悲しい現実である。
多くの報道機関からも取材を受けたが、社会部などの担当者の知識が乏しいため、5分で終わる電話 取材でも30分となる。これでは詳細な情報や真実は国民には伝わらない。本当の使命は真実を伝えることなのだが、パニックになりかねないことは決して報道 しないジャーナリストや報道機関。本当にこれでいいのだろうか。しかし現実の超深刻な原発事故の収拾には、多くの犠牲を払っても実現しなければならない。
作業員に対する被ばく対応の問題
この2カ月余りの経過を報道で知る限り、住民や原発事故の収拾に携わる作業員の健康被害につい て極めて問題がある。事故発生後、早々と作業員の緊急時被ばく線量の年間限度値を100mSvから250mSvに上げたが、この姿勢はご都合主義そのもの である。250mSvは遺伝的影響は別として、臨床症状は呈しないと言われる線量である。「ただちに健康被害は出ない」上限値である。しかし作業員の健康 被害を考慮すれば、やはり法律を順守した対応が求められる。そのための法律なのである。
また作業員への衣食住の環境は極めて劣悪であり、 人間扱いとは思えない。誰が被ばく管理や健康管理を担当して指揮しているのか、そのデタラメさは目に余るものがある。自衛隊のヘリによる最初の注水活動 「バケツ作戦」では、被ばくを避けるために遮蔽板をつけ、飛行しながら散水した。遮蔽板を付けるくらいならばその分、水を運んだほうがましであり、最適な 位置に留まって注水すべきなのである。この論理でいえば我々は宇宙から注ぐ放射線を避けるために頭には鉛のヘルメットをかぶり、地面からのラドンガスを避 けるために靴底にも遮蔽板を付けて、常に動きながら生活することとなる。医療で部位を定めて照射する直接線(束)からの防護と、空間に飛散した放射性物質 からの防護の違いを理解していない。必死の覚悟で作業している自衛隊員が気の毒であった。
また、白い独特の服装を防護服と称して着用させ て、除染もしないで着のみ着のままで就寝させている光景は異常である。放射線に対する防護服などはない。安全神話の一つとして、ヨード剤を放射線防護剤と 称して、あたかも放射線を防護できるような言葉を使用してきたが、防護服も同様な意味で名称詐欺である。着用すれば、塵状・ガス状の放射性物質が直接皮膚 に接触しないだけであり、防護している訳ではない。防護服を着たまま寝るよりは、通常の衣服を厚めに着て皮膚面を覆うことが重要であり、毎日新しいものに 着替えたほうがよほど被ばく線量は少なくなる。放射線防護の基本的なイロハも理解していない対応である。
また通常は13,000cpm(4000Bq/m2)以上を除染対象としていたが、入浴もできない環境下で、いつのまにか除染基準を 100,000cpmとした。13,000cpmの基準では全員が除染対象となるからであろう。作業当日の被ばくからの回復には高栄養と安静が最も重要な ことであるが、プライバシーも無い体育館のような免震重要棟に閉じ込めておくのは、逃げられないようにするためなのであろうかと疑いたくなる。30分もバ スで走れば、観光客が激減して空いているホテルで静養できるはずである。
被ばく線量のチェックでは、ポケット線量計も持たせず、またア ラームが鳴らない故障した線量計を渡すなど、下請・孫請け作業員の無知に付け込んだ信じられない東電の対応である。さらに作業中のみ線量計は持たされて も、それ以外は個人線量計も持たせていないのは論外である。寝食している場所も決して正常範囲の空間線量率の場所ではないのである。被ばく線量を過小評価 して、できるだけ働かそうという意図が見え見えである。また放射性物質が飛散した環境下では、最も重要な内部被ばくもホールボディカウンタで把握し加算す べきである。これでもガンマー線の把握だけなのである。
原発周辺の作業地域は中性子線もあるであろうし、プルトニウムからのアルファ線も ストロンチウムからのベータ線も出ているであろう。線質の違いにより測定する計測器や測定方法が異なるため、煩雑で手間暇がかかるとしても内部被ばくの把 握は最も重要なことである。インターネット上の作業員の証言では通常よりは2桁内部被ばく線量も多くなっているという。このような対応の改善が無ければ、 まさに「静かなる殺人」行為が行われていると言わざるを得ない。
5月24日には1~3号機の全てで原発がメルトダウン(炉心溶融)の状態 であることが発表されたが、ガンマー線のエネルギーを調べればコバルト-60も放出されていたはずである。ウランの崩壊系列からは出ないコバルト-60の 検出は、燃料ペレットの被覆管の金属からの放出であり、メルトダウンしていることは想像できたことである。
今後は膨大なマンパワーで被ば くを分散して収拾するしかない。そのためには多くの作業員を雇用して、原発建屋や配管などの詳細な設計図や作業工程を熟知させて作業に当たる必要がある。 しかし、その準備の気配もない。現在は5000人前後の人達が原発の収拾に携わっているらしいが、作業員の線量限度を守るとすれば、百倍、千倍の作業員が 必要となる可能性がある。不謹慎であるが、低迷する日本経済の中で、皮肉にも被ばくを代償とした超大型雇用対策となる。
3号機はMOX燃 料であり、ガンマー線の20倍も強い毒性を持つα線を出す半減期2万4000年のプルトニウム-239も出ている作業環境である。ガンマー線の測定だけで は作業員の健康被害は拡大する心配がある。揮発性の高い核種であるセシウムやヨウ素は遠くまで飛散するが、事故現場周辺はウランや中性子線もあるであろう し、被覆材からのコバルト-60も出ている。6月4日の報道では1号機周囲で4000mSv/hが測定されており、人間が近づける場所ではなくなってい る。作業員に対して事前に造血幹細胞採取を行い、骨髄死の可能性を極力避ける工夫も提案されたが、原子力安全委員会や日本学術会議からは不要との見解が出 され、事の深刻さを理解していないようだ。
また放射性医薬品を扱っている日本メジフィジックス社は事故直後にラディオガルダーゼ(一般名=ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物)を 緊急輸入し無償で提供した。この経口薬はセシウム-137の腸管からの吸収・再吸収を阻害し、糞中排泄を促進することにより体内汚染を軽減する薬剤であ る。作業員にはヨウ素剤とともにラディオガルダーゼの投与を行うべきである。このままでは、いつもながらの死亡者が出なければ問題としない墓石行政、墓石 対応となる。
地域住民に対する対応の問題
地震と津波の翌日に水素爆発で飛散した放射性物質は風向きや地形の違いによ り、距離だけでは予測できない形で周辺地域を汚染した。高額な研究費を費やしたとされるSPEEDIの情報は封印され、活用されることなく3月12日以降 の数日間で大量の被ばく者を出した。SPEEDIの情報は23日に公開されたが、時すでに遅しである。公開できないほどの高濃度の放射性物質が飛散したこ とによるパニックを恐れて公開しなかったとしか考えられない。郡山市の医院では、未使用のX線フィルムが感光したという話も聞いている。また静岡県の茶葉 まで基準値以上の汚染が報告されているとしたら、半減期8日のヨウ素からの放射能が減ってから23日に公開したものと推測できる。
管首相の不信任政局のさなか、原口前総務大臣はモニタリングポストの数値が公表値より3桁多かったと発言しているが、事実とすれば国家的な犯罪である。情報が隠蔽されれば、政府外の有識者からの適切な助言は期待できず、対応はミスリードされる。
「がんばろう、日本!」と百万回叫ぶより、真実を一度話すことが重要なのである。3月23日以前の国民が最も被ばくした12日間のデータを公開すべきであ る。後に政府・東電は高濃度放射能汚染の事実を一部隠蔽していたことを認めたが、X線フィルムが感光するくらいであるから、公表値以上の高い線量だったこ とは確かである。全く不誠実な対応であるが、その後も不十分な情報公開の状態が続いている。そして現在も炉心溶融した3基の原子炉から少なくなったとはい え放射性物質の飛散は続いているが、収束の兆しは全く見えてこない。
日本の法律上では一般公衆の線量限度は1mSv/年であるが、政府は国際放射線防護委員会(ICRP)の基準をもとに警戒区域や計画的避難区域を 設け、校庭の活動制限の基準を3.8μSv/hとし、住民には屋外で8時間、屋内で16時間の生活パターンを考えて、「年間20mSv」とした。文科省が 基準としたICRP Publication 109(2007)勧告では、「緊急時被ばく状況」では20mSv~100mSv/年を勧告し、またICRP Publication 111(2008)勧告では、「緊急時被ばく状況」後の復興途上の「現存被ばく状況」では1mSv~20mSv(できるだけ低く)に設定することを勧告し ている。政府は移住を回避するために、復興期の最高値20mSvを採用したのである。しかし原発事故の収拾の目途が立っていない状況で住民に20mSv/ 年を強いるのは人命軽視の対応である。
この線量基準が諸兄から「高すぎる」との批判が相次いだ。確かに、年齢も考慮せず放射線の影響を受 けやすい成長期の小児や妊婦にまで一律に「年間20mSv」を当てはめるのは危険であり、私も高いと考えている。しかし私は、「年間20mSv」という数 値以上に内部被ばくが全く計算されていないことが最大の問題であると考えている。
政府をはじめ有識者の一部は100mSv以下の低線量被ばく線量では発癌のデータはなく、この基準の妥当性を主張している。しかし最近では100mSv以下でも発癌リスクのデータが報告されている。
広島・長崎の原爆被爆者に関するPrestonらの包括的な報告では低線量レベル(100mSv以下)でも癌が発生していると報告2)され、白血病を含め て全ての癌の放射線起因性は認めざるを得ないとし、被爆者の認定基準の改訂にも言及している。また、15カ国の原子力施設労働者40万人以上(個人の被ば く累積線量の平均は19.4mSv)の追跡調査でも、癌死した人の1~2%は放射線が原因と報告している3)。
こうした報告もあり、米国 科学アカデミーのBEIR-VII(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告,2008)では、5年間で100mSvの低線量被ばくでも約1%の人が放射線に 起因する癌になるとし、「しきい値なしの直線モデル」【(LNT(linear non-threshold)仮説】は妥当であり、発癌リスクについて「放射線に安全な量はない」と結論付け、低線量被ばくに関する現状の国際的なコンセ ンサスとなっている。
さらに、欧州の環境派グループが1997年に設立したECRR(欧州放射線リスク委員会)は、国際的権威(ICRP、UNSCEAR、BEIR) が採用している現行の内部被ばくを考慮しないリスクモデルを再検討しようとするグループであるが、先日の報道では、ECRRの科学委員長であるクリス・バ スビーはECRRの手法で予測した福島原発事故による今後50年間の過剰癌患者数を予測している。原発から100kmの地域(約330万人在住)で約20 万人(半数は10年以内に発病)、原発から100Km~200Kmの地域(約780万人在住)で約22万人と予測し、2061年までに福島200km圏内 汚染地域で417,000人の癌発症を予測している。しかし、計算の根拠とした幾つかの仮定や条件が理解できない点も混在しており、予測値は誇張されてい ると私は感じている。ちなみにICRPの方法では50年間で余分な癌発症は6,158人と予測されている。さてこの予測者数の大きな違いはどう解釈すべき なのか。
また、震災前の3月5日に、米国原子力委員会で働いたことのあるJanette Sherman医師のインタビュー4)では1976年4月のチェルノブイリ事故後の衝撃的な健康被害が語られている。彼女が編集したニューヨーク科学アカ デミーからの新刊 “Chernobyl : Consequences of the catastrophe for people and the environment”によると、医学的なデータを根拠に1986~2004年の調査期間に、98.5万人が死亡し、さらに奇形や知的障害が多発してい るという。
また、ヨウ素のみならずセシウムやストロンチウムなどにより、心筋、骨、免疫機能、知的発育が起こっており、4000人の死亡 と報告しているIAEAは真実を語っていないと批判している。これは、(1)正確な線量の隠蔽、(2)低線量でも影響が大きい、(3)内部被ばくを計算し ていないため―といった原因が考えられる。この大きな健康被害の違いについても、私は内部被ばくの軽視が最大の原因だと考えている。
しかし低線量でも被害が大きいことが隠蔽されている可能性も否定できない。ちなみに原発事故の翌日に米国は80Km圏内からの退避命令を出しており、低線量被ばくの被害の真実の姿を握っていて対応した可能性もある。
(その2/2)はこちら
文献
(1)Amy Berrington de Gonzalez, Sarah Darby: Risk of cancer from diagnostic X-rays: estimates for the UK and 14 other countries. Lancet 363:345-351, 2004.
(2)D.L.Preston, E.Ron, S. Tokuoka,et al: Solid Cancer Incidence in atomic Bomb Survivors;1958-1998. Radiation Res.168:1-64,2007.
(3)Cardis E, Vrijheid M, Blettner M, et al: Risk of cancer after low doses of ionising radiation: retrospective cohort study in 15 countries.BMJ.9:331(7508):77,2005.
(4)http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/
急浮上する「9.11脱原発総選挙」
2011/07/04
安藤 毅 【プロフィール】
与野党から非難轟々の「プチ改造」に動き、なお政権延命を図る菅直人首相。次のカードとして乾坤一擲の脱原発解散に踏み切るとの見方が永田町に渦巻く。「郵政解散」の再現を狙うシナリオだが、政策空転が長引く懸念が強まっている。
退陣時期を曖昧にしたまま、8月31日までの延長国会を押し通した菅直人首相。次の一手は、閣僚入れ替えの強行だった。
「震災に対する復旧・復興を進め、原発事故の再発を防止する体制を作る」
松本龍・防災担当相を復興対策担当相に、細野豪志・首相補佐官を原発事故担当相に任命した人事の狙いについて、菅首相はこう強調した。
さらに、「一定のメドがついた段階」としてきた退陣時期に関して「2011年度第2次補正予算案、赤字国債発行法案、再生エネルギー特別措置法案の成立」と明言。「私の内閣の責任で成立させたい」と意気込んで見せた。
退陣表明した首相による異例の閣僚入れ替えと、政権運営への強い意欲表明をどう見たらいいのか。ある民主党幹部はこう論評して見せた。
「辞める条件こそ示したが、そのハードルを自ら高くした。しかも、いつ辞めるのか、明示していない。延命策以外の何ものでもない」
見通し立たない重要法案成立

延長国会で焦点となるのが、菅首相が挙げた2011年度第2次補正予算案、赤字国債発行法案、再生エネルギー特別措置法案の扱いだ。7月中旬に国会に提出される予定の第2次補正予算案は、震災復興への追加対策だけに、審議はさすがに進む見通しだ。
メドが立たないのが赤字国債発行法案だ。約37兆円の赤字国債を発行するのに欠かせない法案で、今国会で成立しなければ、震災復興や社会保障などに多大な影響を及ぼしかねない。
しかし、菅首相が参院自民党から浜田和幸氏を総務政務官に起用したことなどに自民党は「民主党との信頼関係はズタズタになった」(石原伸晃・幹事長)と 猛反発している。自民、公明両党が協力の前提とする子ども手当などのマニフェスト(政権公約)見直しに向けた調整は、一層視界不良になった。
菅首相がこだわる再生エネルギー特別措置法案の先行きも不透明だ。太陽光や風力発電などについて電力会社に買い取りを義務づけるもので、野党内にも賛成 意見がある。だが、「にわか仕立ての露骨な延命策」との批判は与野党問わず根強く、「成立」までの審議スケジュールは見通せない。
「野党が反発して法案審議が先延ばしになるほど、菅首相も延命する構図」(菅首相に批判的な民主党議員)が出来上がったというわけだ。
四面楚歌状態にありながら、なお続投に固執する菅首相。側近議員は「3法案が成立すれば菅さんは辞めるはず」と話すが、永田町で額面通りに受け止める空気は薄い。
それどころか、究極の延命策カードを切るとの見方が広がり始めた。「脱原発」にイエスか、ノーかだけを争点に衆院を解散する「脱原発総選挙」がそれだ。菅首相周辺のシナリオはこうだ。
赤字国債発行法案や再生エネルギー特別措置法案の審議が膠着し、8月にずれ込む。そんな状況下、広島に原爆が投下された8月6日か、長崎に投下された同 9日に開かれる式典で、核兵器廃絶と脱原発の推進を宣言し、自然エネルギーへの転換を世界に発信する。世論の反応や与野党が対立する状況を見極め、8月中 にも衆院解散・総選挙に打って出る。民主党を勝利に導き、さらに長期政権を作る──。
シングルイシュー(単一課題)を争点に、「疑似国民投票」に仕立て上げる。その手法は、小泉純一郎・元首相による2005年の「郵政解散」を想起させる。原子力政策を推進してきた自民党や経済産業省などを郵政民営化論議時の「抵抗勢力」と位置づけるわけだ。
6年前、小泉氏は8月8日に解散し、9月11日投開票の日程を選んだ。震災で延期された岩手県知事選と県議選の9月11日投開票が検討されていることもあり、首相周辺からは「9.11投開票」説が漏れ伝わる。8月末の延長国会会期末頃に解散する説もある。
「小泉劇場」再現が難しい理由
こうした解散シナリオについては、物理的に選挙を実施するのが難しい被災地があることなどから、実現は難しいとの見方が一般的だ。それでも与野党の間で 警戒感が広がっているのは、市民活動家からスタートし、巧みに権力闘争を勝ち抜き、首相の座を射止めた菅首相が権力の座を易々と手放すはずがないとの共通 認識があるためだ。
「菅首相の盟友」とも称される伸子夫人が毎日新聞の取材に応じ、「これまで、首相が簡単に辞めちゃった方が不思議」と、居座りを後押しするかのような発言をしていることも、こうした見方を増幅している。
では、菅首相が衆院選圧勝を手繰り寄せ、「小泉劇場」を再現することができるかといえば、ハードルは高そうだ。
まず、内閣支持率の違いがある。各種世論調査で、「郵政解散」前の小泉内閣の支持率は40~50%台だったが、菅内閣のそれは20%台程度。「脱原発」宣言の効果は未知数だ。
「脱原発」が争点になるのかという問題もある。菅首相は定期点検中の原子力発電所の再稼働について「すべての原発を止めることは経済に対する影響が大き い」と、安全が確認された原発の再稼働に理解を示す発言をしている。原発輸出を後押しした経緯もあり、整合性が問われる。中長期のテーマであるエネルギー 政策が衆院選の争点になじむのかという論点もある。
何より、小泉氏との違いは、政治家としての「確固たる決意」が伝わってこないことだ。郵政民営化に向け、時間をかけ「抵抗勢力」との攻防を繰り広げ、世 論を味方につけた小泉氏。一方、菅首相の関心は消費税率引き上げから「平成の開国」に向けたTPP(環太平洋経済連携協定)など変遷を遂げてきた。今執心 の脱原発や自然エネルギーの推進は、菅首相が追い求めてきた政策なのか。
解散権を行使しようというなら、エネルギー・原発政策だけでなく、消費税の扱いなど広範なマニフェスト見直しが必須だ。今のバラバラの民主党では、短期間で体裁を整えたとしても実行性に疑問符がつく。
刀折れ、矢尽きるまで首相の座にとどまるのを美学とするかのような菅首相の姿勢について、ある民主党幹部は「後世の評価を意識するあまり、自分探しを続けている」と評する。小泉氏と言えば「郵政民営化」。自分にふさわしい枕詞を求めているというのだ。
求心力を失った首相の居座りが、本格復興への歩みはもとより、税と社会保障、外交など重要政策の空転につながっているのは紛れもない事実。野党の対応も 厳しく問われるが、党内をまとめ上げ、円滑な国会運営や政策実現への道筋をつける究極の責任を負うのは、菅首相その人だ。
自らの思いを優先し、政策停滞が長引く現状を放置することこそ、後世の評価に堪えないのではないか。
日経ビジネス 2011年7月4日号8ページより













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